第29章 パクリ

そのころ、寝室にいた下山柚奈はまったく眠れずにいた。

山﨑蓮に拒まれたことが、頬を張られたみたいに痛かった。プライドも、誇りも、何もかも叩き落とされた気がする。

これで三度目。三度目だ。

しかも柚奈には分かっていた。蓮が自分を拒むたび、そこには必ず谷口美桜の影がある。どうしてあの女なのか。

「谷口美桜……っ」

歯ぎしりするように、その名を噛みしめる。

後ろ盾ひとつないくせに、偽りの結婚でのし上がってきた女が、どうして蓮の妻という立場に居座っていられるのか。

三年も別居しているのに、それでも蓮は不倫しようとしない。

いつからあの男は、そんなに節度のある人間になったのだろう。

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