第34章 私は追及する

下山柚奈は流れに身を任せるように男の胸へ身を寄せ、シャツの襟元をぐっと掴んだ。

谷口美桜はその場に立ち尽くしたまま、砕けたライターの残骸を握っている。金属が皮膚を焼くほど熱いはずなのに、痛みなど感じていないかのように、ただ静かに、抱き合う男女を見つめていた。

空気に漂う独特な酒の匂い。そこへ灰の焦げ臭さが混じり、胃の奥がむかつく。

「っ……!」

ようやく手を離すと、ライターが床へ落ちてカラン、と乾いた音を立てた。

掌に走る激痛。そこで初めて、美桜は自分の掌に水ぶくれができていることに気づく。

「美桜、大丈夫?」

下山柚奈が山﨑蓮の腕の中から離れ、慌てて谷口美桜のほうへ駆け寄って...

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