第43章 福利厚生

山﨑蓮は足早にオフィスへ入ると、反射的に谷口美桜がいつも座っていた場所へ目をやった。案の定、そこはがらんとしている。

丸山虎太郎は、今日は絶対にただの日じゃないと踏んでいた。だから誰よりも早く出社し、ついでに山﨑蓮の朝食まで用意しておいた。

谷口美桜が朝から会社に来ているなら、山﨑蓮が朝飯を抜いているのは確実だ。

山﨑蓮は見慣れた店の袋を見て、表情がわずかに緩む。

「……あいつが用意したのか」

「谷口さんに社長のお好みを伺って、私が買ってきました」

丸山虎太郎は平然と言い切った。

確かに好みを教えてもらったのは谷口美桜だ。――ただし、それは2年前で、買いに行ったのは今日、という...

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