第44章 サイン

「今日は大事な会議があるんだ。丸山虎太郎はお前を止めなかったのか」

山﨑蓮は、ほとんど反射で口をついた。

下山柚奈は一瞬きょとんとしてから、入口のほうへ視線を投げる。

「丸山さん、いません」

その言葉で思い出す。丸山虎太郎には医療費の精算書類をまとめさせていたのだった。

山﨑蓮は防犯カメラの画面を素早く縮小する。口調だけは相変わらず冷たい。

「で、何だ」

「新薬研究開発プロジェクトの立ち上げ予算申請書、社長のサインが必要です」

谷口美桜が用紙を差し出した。まるで昨日の騒ぎなど、最初から存在しなかったかのように。

ふと、彼女の視界の端に山﨑蓮のパソコン画面が入った。

表情が...

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