第47章 覚える価値もない

山﨑蓮は会社を立ち上げて以来、連日の残業と徹夜を重ね、いつの間にか頭痛持ちになっていた。

谷口美桜は、痛みが来た瞬間にすぐ抑えられるようにと、彼の服という服のポケットに鎮痛剤を忍ばせていた。

スーツの内ポケット、スラックスのポケット、シャツの胸ポケット……。

いつでも手が届く場所にある。痛みをこじらせる隙を与えない。

そのうえ美桜は、彼の体調に合わせて食事まで整え、早く休むよう口うるさく言い続けた。おかげで、ここしばらく発作は出ていなかった。

掌に載る小さな錠剤を見つめると、胸の奥で燃えていた苛立ちが、すっとしぼんでいく。

思い出す。

一度、クリーニングから戻ったばかりのコート...

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