第67章 罠を仕掛ける

午前2時。山﨑蓮はオフィスデスクに座り、政府入札の書類に視線を落としていた。――落としているだけで、文字が一つも頭に入ってこない。

さっきの佐野勇人からの電話が、胸の奥をざらつかせていた。

「葉山賢人が、社長の元秘書を連れてうちに“協業”の話を持ってきましたよ。こっちは一切、顔を立ててやりませんでした」

続けて、佐野は得意げに言った。

「山﨑社長、ご安心ください。谷口美桜が社長のところから転職してくる時点で、見る目がない。俺は絶対にあいつらとは組みません。うちが原材料を出さなきゃ、今回の政府の案件、葉山グループが落札できるわけがないんです」

――谷口美桜が、本当に葉山グループへ?

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