第68章 見知らぬ人

谷口美桜が病室の入り口に立っているのを見た瞬間、佐野勇人の顔がすっと曇った。

「谷口さん。昨日、話ははっきりさせたはずだ。前田製薬は葉山グループと組まない。出ていってくれ」

「美桜さんは、私に会いに来てくれたのよ」

前田美奈は不満げに佐野を睨み、それから谷口美桜へ視線を移す。

「今までの薬膳だって、全部この子が用意してくれてたの」

下山柚奈の笑みが、ぴしりと固まった。訴えるような目で山﨑蓮を見る。

だが山﨑蓮は彼女を見もしない。鼻で笑うように息を漏らした。

「前田夫人、誤解なさってます。谷口美桜はただの秘書です。指示されたことをやってるだけで、薬理なんて分かるはずがない」

「...

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