第74章 役立たず

「もともとは順調だったんですが、社長に差し戻されました」

葉山賢人ははぁ、と息をつき、手元の書類を差し出す。

「これが購買申請書と予算案です。予算オーバーだし、リスクが高いって」

谷口美桜は書類に目を落とし、なるほど――と腹の底で理解した。

予算1,000万は、決して高すぎる額ではない。そもそも山﨑グループがこの設備一式を導入したとき、購入額は軽く1億を超えていたはずだ。

だからこそ美桜は、設備の入れ替えにずっと反対してきた。いま新規で買い直せば、同レベルの設備は倍の値段でも足りないだろう。

彼女がやるべきことはひとつ。

誰にも気づかれないうちに、最短でこの設備を押さえる。

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