第八十章 落札

「ってことは、今は設備がないってこと? それ、要件を満たしてないんじゃないの?」

「山﨑グループが設備を売却したなんて、聞いたことないけど」

「誰かに嵌められたんじゃ? このタイミングで設備を売るとか……」

会場はざわめきに包まれた。誰もが、山﨑グループがこんな初歩的なミスを犯すとは信じられない。

下山柚奈は手のひらに汗がにじみ、顔色まで青ざめていく。

設備の問題が入札にまで響くなんて、本気で想定していなかった。しかも、どうして谷口美桜がそのことを知っているのか。

昨日、社内で処理を決めたばかりだ。まさか、誰かが谷口美桜に漏らしたのか。

視線が自分に集まっているのを感じ、下山柚...

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