第81章 泥を塗る

下山柚奈はさっと顔色を失ったが、それでも言葉を絞り出した。

「ごめんなさい。私、この案件を引き継いだのがつい一昨日で……研究開発部も立て込んでて、私の確認が甘かったの」

「もし最初から、美桜が渡してきた資料が不十分だって気づけてたら、こんなことにはならなかった。当時だって、彼女は『特許は全部自分で照合した、絶対に問題ない』って念押ししてたし……あなたも言ったでしょう、私たち友達だって。だから、信じるに決まってる」

責任はまたしても、谷口美桜へと押しつけられる。

山﨑蓮は何も言わなかった。ただ窓の外へ視線を逃がし、両手をきつく握り締める。

彼が自分の弁明を飲み込んだのかどうか、下山柚...

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