第85章 バーで出会う

「山﨑蓮――」

誰かがその名を呼ぶのが耳に入った瞬間、谷口美桜はびくりと肩を跳ねさせた。

反射的にそちらへ目をやる。けれどフロアは踊る人間でぎゅうぎゅうで、顔なんて判別できるはずもない。

「先輩、この設備……いくらくらいになります?」

川原遥香は今の声など聞こえなかったみたいに、強張った表情で尋ねた。

葉山賢人が左手をすっと上げる。

「控えめに見積もっても、5,000万だ」

「ご、5,000万……!?」

遥香が息を呑み、次の瞬間にはぱっと顔を輝かせて、美桜のグラスに軽く当てた。

「美桜、あんたもうお金持ちじゃん!」

「あなたにも取り分はあるよ」

美桜は我に返り、笑って遥...

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