第95章 自ら潔白を証明する

谷口美桜は、証拠を提出してしまえば、山﨑蓮も会社のために特許を無効にする手続きを取り下げるだろう――そう踏んでいた。

だが、彼は取り下げなかった。

知的財産局からの通知はそのまま葉山グループへ届き、週末には公開の審理が開かれる。

――全部、知られてしまった。

その週、谷口美桜の仕事は目に見えて回らなくなった。誰もが彼女に小さな棘を刺してくる。

給湯室では、ひそひそ声が彼女の姿を見た瞬間、ぴたりと途切れる。

メールを送っても、返事は締め切りぎりぎりまで放置される。

彼女が仕切る会議では、誰も目を合わせない。話しかけられるのを避けるように、言葉すら最小限だ。

各部署合同の調整会議...

ログインして続きを読む