第97章 彼女とは関係ない

「美桜、おめでとう! また勝ったじゃん!」

川原遥香はビールグラスを高く掲げ、頬を上気させたまま声を張り上げる。

「ほんっと、あのクズ……! まだ美桜のこと通報するとか、どんだけ神経図太いの。心、犬にでも食わせたんじゃない?」

山﨑蓮の名が出た瞬間、遥香の顔には露骨な嫌悪が浮かんだ。歯ぎしりする勢いだ。

谷口美桜は終始、淡々としている。それでもグラスを取り、ひと口だけ飲んでから、静かに息を吐いた。

握ったままのグラスの中で、ぷつ、ぷつ、と泡が弾けていく。胸の奥は、晴れているのか、冷えているのか。自分でもよく分からない。

――証拠があってよかった。

――今は何もかも電子の痕跡が残...

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