第98章 証人

月曜の出社。谷口美桜が会社に足を踏み入れた瞬間から、やけに視線が刺さった。

エレベーターの中では、わざと彼女の目の前で下山柚奈の動画を再生する人までいる。しかも音量を上げて。

とりわけ――

『蓮がずっと私のこと、面倒見てくれて……』

その一言が流れた途端、乗っていた全員の目がいっせいに谷口美桜へ向いた。

谷口美桜は何も言わない。ただ前だけを見て、表情ひとつ動かさない。

ひそひそと視線が交わされ、誰かが鼻で笑う気配。あからさまに口元を歪める者もいた。

オフィスに戻ってから、ようやくスマホを開く。未読は3件。

1件目は葉山グループ法務部からの連絡で、「ネット上の騒動に関する説明要...

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