第2章

 私は自分の寝室で目を覚ました。切断端は包帯を巻き直されていて、鈍い痛みが脈打っていた。

 母さんがベッドの端に座っていた。目元が腫れている。私が目を開けた瞬間、母さんは私の手をつかんだ。

「気分はどう?」

「大丈夫」と私は言った。「心配かけてごめん」

「やめて」声が震えていた。「謝らないで」

 父さんは出入り口に立っていた。「医者が診たが、骨折はなしだ。だが、君に会ってもらう人を手配した。セラピストだ。今日の午後に来る」

「うん」と私は言った。

 母さんは私の額に口づけして出ていった。父さんも後に続く。

 ドアが閉まると、私は起き上がって窓の外を見た。

 セリーナが庭にいて、背を向けたまま、耳に電話を押し当てていた。肩が強張っている。

 きっと、私が階段のことを話したんじゃないかと気にしているのだろう。

 私は話していない。

 まだ。

 ヴォス先生は三時きっかりに、時間どおりやって来た。

「レン、あなたの傷跡について話してくれる?」と彼女は訊ねた。

 私はソファに座り、脚を体の下に折り込んだ。義足がないほうが楽だった。

「自分でつけた」

 彼女のペンが止まった。「自分で……自分に?」

「うん」

「どうして自分を傷つけるの?」

「先に私がやっておけば、向こうが怒る前に、あの人たちは私に優しくなるから」私は彼女の目を見た。「先手を打つってわけ」

 彼女は、自分を傷つけても何も解決しないこと、それは私を大事に思っている人たちを傷つけるだけだ、というようなことを言った。

 私は彼女が言い終わるのを待った。

「昔は友だちがいた」と私は言った。「私がいた場所には、ほかの子どもたちがいて。食べ物を盗って分け合ってた。誰かが捕まったら、みんなでかばった。代わりに罰を受けたりして」

 彼女が顔を上げる。

「もう、みんな死んだ」

 ペンがぴたりと止まった。

「火事があった。男たちが私たちを納屋に閉じ込めて、火をつけた。『もう用済みだ』って」

 私は袖口のほつれた糸をいじった。

「友だちのマヤが、屋根が落ちてくる直前に、私を窓から押し出してくれた」

 そこで言葉が途切れた。

「マヤは……外に出られなかった」

 ヴォス先生はそれ以降、何も書かなかった。ただ、私を見つめていた。

「私が運がよかっただけ」と私は言った。

 その晩、彼女は書斎で母さんと父さんだけに会った。

 私は見てはいけないはずだった。

 でも、私は口の動きが読める。

 書斎の窓越しに、彼女の唇が形づくる言葉を追った――重度のトラウマ、根深い損傷、何年にもわたる刷り込み。母さんの肩が小刻みに震える。父さんの手が握りしめられ、拳になった。

 翌朝の朝食では、セリーナがすでにテーブルについていた。

「セラピストと話したんですってね」と、彼女は甘い声で言った。「役に立ったといいけれど」

 リードがコーヒーを注ぐ。「セリーナは、あのことをひどく気にしていたんだ」

 私は母さんを見た。父さんも見た。

 二人とも何も言わない。

「平気よ」と私は言った。「事故だったんだ」

 セリーナの笑みがいっそう広がった。

 私は笑みを返した。

 彼女はフォークを置く。「あ、そうだ――今週末、ヘンダーソン一家がヨットパーティーを開くらしいの。すごく限られた人しか呼ばれないのよ。来たらどう、レン? いろんな人に会えるし。あなたのためにもなるわ」

 リードがうなずく。「楽しそうだな」

 母さんはためらった。「まだ早いんじゃ――」

 セリーナが私をちらりと見た。ほんの一瞬だけ。誰も気づけないほど短く、目の奥で何かがきらりと光って、すぐに消えた。

「大丈夫」と私は言った。「行くよ」

 セリーナの笑みが、満足そうに深まった。

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