第4章

 彼は動かなかった。まだ私を見つめている。

 凍りついたみたいに。

「リード!」セリーナが叫んだ。「逃げて!」

 それでも彼は動かない。

 マストがうなった――芯まで裂けるような、鈍く深い音。

 考える暇なんてなかった。

 義足で甲板を蹴り、彼めがけて跳んだ。

 思いきり突き飛ばす。

 リードはよろめきながら後ろへ下がり、危険域を脱した。

 私は彼がいた場所に着地する。

 マストが落ちてきた。

 甲板に叩きつけられる音は銃声みたいだった。索具のワイヤーが切れて、ビュンと私のそばを鞭のように跳ねる――一本が肩に引っかかり、体が激しく回転させられた。

 私は倒れた。

 ...

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