第1章 彼女も生まれ変わった

冷たい湖水が彼女の口と鼻に流れ込んできた。

「夏美!」

「お姉ちゃん!」

母と、新しく迎え入れられた妹の声が相次いで響き、中島夏美は意識を失った。

豪華な個室病室のベッドの上。

精緻な顔立ちの少女の睫毛が微かに数回震え、ゆっくりと目を開いた。

どういうことだろう、人は死んだら白い壁を見るものなのか?

「夏美、目が覚めたのね!」中島美玲の声が喜びに満ちていた。

中島夏美は少し戸惑いながらベッドの傍にいる母親を見た。なんだか若返っているようだ。

「お姉ちゃん、本当にわざとじゃなかったの!」

中島結子が涙に濡れた瞳で飛びかかってきて、危うく彼女の手に繋がれた点滴の針を引き抜きそうになった。

幸い、中島夏美は中島結子の声に極めて敏感だったため、咄嗟に手を引いた。

目の前で、まだあどけなさが残る顔に青白いすっぴん風メイクを施した中島結子を見つめる。

中島夏美は、一瞬にして思い出した。

これは、中島結子がこの家に来て二日目の出来事だ!

彼女は、生まれ変わったのだ!

中島夏美は中島家で十八年間お嬢様として過ごしてきた。聡明で向学心に富み、W市の令嬢の鑑として、中島家の名声を大いに高めた。

しかし、成人を迎える矢先に、自分が両親の実の娘ではないと告げられた。

生まれた時に、取り違えられていたのだ!

中島家はすぐに実の娘、中島結子を探し出した。

彼女は猫をかぶったように、従順でか弱い少女だった。

中島夏美は真実を知った後、罪悪感に苛まれた。自分が中島結子の居場所を奪い、中島家の寵愛と教育を享受している一方で、中島結子は外で辛い思いをしてきたのだと感じたのだ。

中島夏美は中島家を去り、すべてを中島結子に返そうと考えた。

だが、中島結子は泣きながらお姉ちゃんに行かないでと引き留めた。自分がまるで悪者のように、帰ってきた途端にお姉ちゃんを追い出すなんて嫌だ。二人で一緒に中島家の娘として、仲の良い姉妹になれる。

中島夏美にとって中島家には深い愛着があった。幼い頃からここで育ち、草木の一本一本、家族や友人、すべてがここにあった。当然、手放しがたいものだった。

だから彼女は残ることを選んだ。だが、それが人生の悪夢の始まりだとは、思いもしなかった!

中島結子は表向きはか弱く善良だが、裏ではことあるごとに彼女を陥れた。

例えば今回、中島夏美が水に落ちたのも中島結子が仕組んだことだった。前の人生では、彼女は本当に中島結子が過失でやったのだと信じ、あっさりと許してしまった。

まさか、中島結子がその後、ますますエスカレートしていくとは。

中島夏美が持っていたすべて――家族、友人、仕事、チャンス。

彼女はそれを破壊し、奪い取ろうとした!

そして最後には、彼女の名声も、キャリアも、未来もすべてが壊された。

家族や友人は彼女を誤解し、見捨てた。彼女が愛した人さえも、中島結子を追いかけていった。

前の人生で中島夏美も奇妙に感じていた。なぜ中島結子はいつも自分の一歩先を行き、まるで未来を知っているかのようだったのか。

そして、中島結子は悪事を働き尽くしても、決して発覚しなかった。

誰もが中島結子は潔白で無垢だと信じ、偽物のお嬢様という正体が暴かれたことに不満を抱いた中島夏美が、中島結子を恨んで足を引っ張ろうとして自滅したのだと思っていた。

中島夏美は後に中島結子の正体を見破ったが、時すでに遅く、彼女にはもう敵わなかった。

ついには路頭に迷い、チンピラに路地裏で辱められそうになり、必死に抵抗して半殺しにされた。

その時、中島結子が現れ、血の流れる彼女の頬に顔を近づけてこう告げたのだ。

――実は中島結子は生まれ変わっていた。前の人生では中島夏美が何から何まで彼女に勝っており、本物のお嬢様である中島結子がかえって肩身の狭い思いをしていた。だから生まれ変わって、必ず中島夏美に復讐し、彼女のすべてを奪い取って、恨みを晴らさなければならなかったのだ!

生まれ変わり? この世に本当にそんなことがあるなんて!

そして今、中島夏美も生まれ変わった。彼女たちは再び、同じスタートラインに立ったのだ。

「お姉ちゃん、まだ私を許してくれないの?」

中島結子は目を覆い、しくしくと泣き始めた。

中島美玲もそれに乗じて口を挟む。「夏美、結子ちゃんはきっとわざとじゃないわ。家に帰ってきたばかりで、とても不安だったのよ」

中島夏美は口角を吊り上げ、奇妙な笑みを浮かべた。「そうですか?」

両親は中島結子にブランド物の服をたくさん買ってあげたというのに、彼女は相変わらずその古びた白いTシャツを着ている。泣いている姿は一層哀れに見え、まるで中島夏美が彼女をいじめたかのようだ。

しかし、ベッドに寝ているのは紛れもなく中島夏美だというのに!

中島美玲もまた、不憫そうに中島結子を抱きしめる。「泣かないで、結子ちゃん。あなたのお姉ちゃんは一番寛大な子だから、きっとあなたのこと責めたりしないわ」

その時、お父さんがドアを開けて入ってきた。

「結子、どうして泣いているんだ?」

「お姉ちゃんが……」

言葉が終わらないうちに、お父さんは責めるような顔で中島夏美を見た。「お前の妹は昨日帰ってきたばかりなんだ。彼女こそが中島家の実の娘なんだぞ。お前が水に落ちたのは事故だろう」

お母さんも言う。「結子ちゃんは外でたくさん苦労したのよ。私たちがちゃんと埋め合わせてあげないと」

中島夏美は、彼女たちの父娘、母娘の情愛を冷ややかに見つめていた。

この時点では、お父さんにもまだ彼女に対する情はあった。少なくとも、彼女が意識不明だった時には心配してくれた。

しかし、実の娘への不憫な思いには到底かなわない。二人の間に問題が起これば、彼は絶対的に中島結子の味方をする。

それもそうか。あちらが実の子で、彼女という養女はただの一方的な思い込みに過ぎなかったのだ。

許すも許さないもない。この家が、彼女に公正な裁きを下してくれるはずがないのだから。

中島結子に突き落とされたことで、この十八年間の養育の恩は帳消しになったとしよう。

「ええ」中島夏美は冷淡に答えた。

お母さんはさらに言い付けた。「それと、今日家に帰ったら客室で寝なさい。お前の元の部屋は広くて明るいから、先に結子に使わせてあげなさい」

お父さんが付け加える。「夏美、一時的な辛抱だ。客室も悪くはない」

そう、少し狭いだけだ。だが、彼らは彼女がベッドが変わると眠れない癖があることを忘れている。

前の人生でこの話を聞いた時、彼女は少し傷ついたが、中島結子への罪悪感から、素直に受け入れた。

今となっては、もう慣れた。里親が中島結子を偏愛するのは、当然のことなのだ。

自分の親ではないのなら、もういらない。

この人生では、自分の実の父母を探しに行く。彼らがどんなに貧しくても。

彼女はお父さんをまっすぐに見据え、落ち着いた声で言った。「お父さん、お母さん。こうしてお二人を呼ぶのは、これが最後です。これまで育ててくださり、ありがとうございました。実の娘さんが戻られたのですから、すべてを彼女にお返しするのは当然のことです。私は自らここを去ります。ご養育の恩は、今の私には返す力がありません。仕事をしてお金を稼げるようになったら、できるだけ早くお返しします」

これを聞いた中島結子は、驚いて顔色を変え、涙の出ていない目を覆うことさえ忘れていた。

どういうことだ、このクズは前の人生と違う。彼女は中島家の恵まれた環境を惜しんで、お父さんお母さんが恋しいと泣き叫ぶはずではなかったのか?

お父さんも驚き、お母さんは慌てて彼女をなだめた。「夏美、違うの、あなたを追い出すつもりはないのよ。あなたも結子ちゃんも、私たちの娘よ」

中島結子はさらに彼女の手を引いた。「お姉ちゃん、養育の情って、そんなに簡単に断ち切れるものじゃないでしょう? もし私が帰ってきてすぐにお姉ちゃんが出て行ったら、事情を知らない人たちは、私がどれだけ悪い人間で、お父さんやお母さんがどれだけ薄情かと思うわ。一緒に姉妹になって、これから親孝行していきましょうよ」

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