第11章 再び計を生む

山口夏美は入り口で衣装を受け取った。山口美崎が彼女のために選んでくれたクチュールドレスで埋め尽くされた部屋の中から、無造作に手に取った一着だ。海のように深いブルーの生地に、星屑のようなスパンコールが散りばめられ、舞台の上ではまるで深海の星々のように輝くことだろう。

山口夏美がそのドレスに着替えて舞台裏へ足を踏み入れると、すれ違う人々は皆、息を呑むほど驚いた表情を浮かべた。

「ちょっと見て、あのドレスどこのかしら。すごく綺麗! 超お姫様みたい! まるでディズニーのお姫様じゃない!」

「見当もつかないわ。どこのブランドかしらね。訊いてみたら?」

「今年のミラノコレクションで見た、あのド...

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