第15章 風雲会

山口夏美は寝る前にダークネットにログインすると、案の定、ハッカー対決の予選を通過したという知らせが届いていた。

これはダークネットがここ数年で始めた内部の競技大会で、最新のネットワーク技術の交流や、ハッカーたちの攻防テクニックの向上を目的としている。腕利きの猛者が集い、ある年の決勝戦では、A国のブラックハウスのセキュリティシステムに誰が一番早く侵入できるかを競ったほどだ。

その年の優勝者はA国のある十八歳になったばかりの青年だった。なぜ彼の身元が割れたかというと、大会後すぐにA国の方に逮捕されたからだ……。

それ以来、ハッカー対決は少しおとなしくなった。とはいえ、相手が少し御しや...

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