第269章 役を奪う

障害が立ち塞がれば、彼女は必ず排除する。電話を切った後、中澤絵梨花は『神探お嬢様』の制作が本当に続行不可能か各所へ探りを入れた。状況が絶望的だと知るや否や、すぐさま手持ちの別の台本へ標的を変える。『三度めの輪廻恋』はすでに二番手、三番手の女優が決定済みであり、これほどの大作で途中降板劇を演じれば大炎上は免れない。竹中萌香のキャリアに泥を塗るわけにはいかなかった。となれば、残された最善手は『空に咲く庭』のみ。すでに中島結子が制作チームと契約を交わしているとはいえ、そもそも彼女がヒロインの座を射止められたのは絵梨花の口利きあってこそ。恩を仇で返すような真似はしないだろうと踏んだのだ。

当面の撮...

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