第279章 守銭奴

山口拓海はハンドルを握りながら、気にも留めない様子で言った。

「気にするなよ。どうせ仕事も終わったし、俺の時間は大して価値もない。それに君も親切心からやったんだろ。この犬、野良だろうし、君が助けなきゃ外で長くは生きられなかったはずだ。ほら、動物病院に着いたぞ」

 山口拓海はそのまま付き添って、子犬の折れた脚の治療を見守り、自ら進んで治療費まで支払ってくれた。この動物病院の料金は決して安くなく、かかった四万円は北村由紀の1ヶ月分の生活費に相当する。北村由紀は恐縮しきりで頭を下げた。

「本当にありがとうございます。数ヶ月後にアルバイトをして、お金が貯まったら必ずお返しします。それでもよろし...

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