第31章 名門のお嬢様

授業が終わるなり、木下七海はペンケースを床に叩きつけた。

「ぺっ、今日はマジでついてない!」

中山琴子が彼女の袖を引っぱる。

「七海、落ち着いて。あの先生もわざとよ。どう見ても先に悪態ついたのは北村由紀なのに、聞こえなかったなんて白々しい」

木下七海は北村由紀と山口夏美の方を向いて白目を剥いたが、山口夏美のさらに冷たい視線に射抜かれ、思わず首をすくめた。

小島瀬奈が横から口を挟む。

「そうよ。七海、貧乏人なんて相手にしちゃだめ。結子こそが本物のお嬢様なんだから。山口夏美みたいな偽物のお嬢様は、すぐ化けの皮が剥がれるわ」

中島結子はにこにこと彼女たちが山口夏美をこき下ろす...

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