第316章 ドレスを奪う

山口夏美は散々迷った末、LAFAVEURから出たばかりのペタルドレスを選んだ。それは同コレクションの大トリを飾る一着で、紫牡丹をモチーフにしていた。ドレス全体がチュールのパッチワークで仕立てられ、深みのある色合いでありながらも軽やかさを持ち合わせている。流れるようなカッティングは優雅で華麗、スカートの裾は牡丹の花びらのように幾重にも重なり、絢爛たる美しさを放っていた。だが、彼女が選び終え、玉地慧子が試着のためにブランド側へ借りに行ったところ、そのドレスはたった今貸し出されたばかりだと告げられたのである。

ドレスを借りていったのは竹中萌香だった。彼女は山口夏美がこのドレスを借りようとしている...

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