第354章 行かせないなら、意地でも行く

山口夏美は首を横に振った。

「いいえ、わざわざ訪ねてきたんだから、一体どんな言い草があるのか聞いてあげるわ」

彼女は以前から五明温樹に、中島結子との間の確執を説明していた。五明温樹は中島夫婦が外で騒ぎ立てて記者の目を引くことを危惧し、フロントに指示して二人を社内の応接室へ案内させたのだ。

「山口夏美が応接室でお待ちです」

フロントは片手を差し出し、丁寧な仕草で二人を中へ促した。

「だから言っただろう、私たちは山口夏美の目上の者だって。これで信じたかい」

中島父の言葉に、フロントは内心で唇を尖らせた。熱狂的なファンがタレントの親戚を騙ってやって来るのは日常茶飯事だ。そのすべてを真に...

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