第356章 服が被る

誕生会が終わると、山口夏美はすぐに撮影チームに合流した。中島結子と立ち稽古をする際、夏美は瞬時に役に入り込み、圧倒的なオーラを放った。その気迫に気圧された結子は、頻繁にセリフを噛んでミスを連発したのである。結子のNGが重なるにつれ、監督の顔色は見る見る険しくなっていった。結子自身も苛立ちを隠せなかった。夏美がわざと自分を狙い撃ちにしているのだと思い込んでいたが、証拠はどこにもない。なぜなら、夏美の演技はキャラクターの設定に完璧に合致しており、そのパフォーマンスは非の打ち所がなかったからだ。

演技力が乏しいとはいえ、結子の態度は非常に真面目だった。彼女は現場に演技指導の先生を帯同させ、常にア...

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