第361章 言うことを聞かない馬

 山口夏美はそれ以上何も言わず、ただ意味深な視線を彼女に投げかけた。中島結子はアシスタントを呼んで馬を引いて行かせ、一方の山口夏美は新しい白馬を選ぶためにその場を離れた。山口夏美の馬を奪い取ったことで中島結子の機嫌はすこぶる良く、奪ったものの方が価値があると感じられ、その馬のどこを見ても気に入った。ヒロイン用の馬であるため、手入れは隅々まで行き届いており、口元にも耳にも汚れ一つなく、鞍などの馬具も最高級のものが揃えられていた。中島結子は得意げになりつつも、少し不満に思った。山口夏美さえいなければ、このヒロインの座は自分のものであったはずなのだ。彼女が白馬の額を撫でようとすると、馬は身をよじっ...

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