第73章 エイル ダンススタジオ

山口夏美は真剣な面持ちで言った。「もうすぐ十五夜でしょう。私、スヌーカーサークルを代表して出し物をやることになったの。ダンス部とはちょっとしたいざこざがあって、彼女たちには負けたくない」

山口美崎はその真剣な様子に思わず笑みをこぼし、娘の鼻先を軽くつまんだ。「そんな大事なこと、どうしてママに相談しなかったの? 和田美咲って子は知ってるわよ、一筋縄ではいかない子だもの。あの子が何年もダンスを習ってきたのに、あなたみたいな素人がちょっと練習したくらいで勝てると思ってるの?」

「ママ! さっきは上手だって褒めてくれたじゃない!」山口夏美は小声で抗議し、疑わしげな視線を母に向けた。「本当に勝て...

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