第5章

和也はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。「だって、七海は守る価値があるからだ。ずっとこんな風に生きて、秘密を抱えて……よく頑張ってきた。七海は、安心していいはずなんだ」

心臓が胸の中で激しく打ち鳴らされる。恐怖からじゃない。名前をつけるのがためらわれる、何か別の感情のせいで。

「男たちが……私たちのこと……」

「ゲイだって思うだろ。ああ」和也は肩をすくめた。「好きに思わせておけばいい。大事なのは、お前が安全でいることだ」

「それで、本当にうまくいくの?」と私は尋ねた。

「拓海はサッカーボール選手だ。上下関係を理解してる」和也の表情は真剣そのものだった。「チームキャプテンと...

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