第103章 俺が死ねば、お前はすっきりするのか?

悲しい?

ほかの男を使ってまで妻を引き留めようとするなんて、悲しいどころの話じゃない。

けれど――彼には、もう彼女を留める術がなかった。今、手元に残っている駒も、白崎亮介ただ一人。

田中実里みたいな子どもにまで手を出すなんて、さすがにできるはずがない。

二宮慎矢は、彼女がぎゅっと握りしめているハサミを見据えた。

「俺はどうでもいい。手段なんて気にしない。欲しいのは結果だけだ」

彼女をここに残す。それが、彼の求める結果。

江森美鈴は、目の前の輪郭の滲んだ顔を見た。光と影が二人の間に横たわり、まるで長い時間に隔てられているみたいで――ふと、十七歳の自分が蘇る。

「ねえ、賭けてみる...

ログインして続きを読む