第115章 彼はまだ目を覚まさないのか?

江森美鈴が再び目を覚ましたとき、視界いっぱいに広がったのは真っ白な病室だった。

真っ白な壁。真っ白な掛け布団。真っ白なシーツ。

がらんとした室内に横たわっているのは、彼女ひとり。

意識を失う直前の光景が、脳裏に蘇る。

井上虎之介が刃物を手に迫ってきた、その瞬間。二宮慎矢が身を翻し、彼女の上に覆いかぶさった。

白く染まった雪の上で、ナイフが横薙ぎに走り――一瞬、目を刺すような痛み。

思わず目を閉じたところで、ぷつりと意識が途切れた。最後に聞こえたのは、重いものが倒れる鈍い音。

あの音が、二宮慎矢が倒れた音なのか。井上虎之介なのか。それとも、ただの聞き間違いだったのか。彼女には分か...

ログインして続きを読む