第120章 幻影だ、彼の美鈴はもう死んだのだから

新谷理子は床から立ち上がると、ぶんぶんと首を振った。

「大丈夫。痛くないから」

二宮婆さんの顔に、珍しく笑みが浮かぶ。立ち上がって言った。

「はいはい、みんな外へ。慎矢も休ませなきゃ。騒がせるんじゃないよ」

数人がぞろぞろと病室を出ていく。新谷理子は、まだ部屋に残っている江森美鈴を悔しそうに一瞥した。

すると、江森美鈴がふっと笑ってこちらを見ている視線とぶつかる。

理子は反射的に目を逸らした。どれだけ焦っても、今は出ていくしかない。

二宮慎矢が江森美鈴の手を軽く叩いた。

「……一緒に寝て」

目が覚めた瞬間、彼女がいなかった。それだけで、また逃げたのだと胸がざわついた。

昏...

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