第13章 二宮さんはきっと狂ったに違いない

だが彼女はすぐに動揺を押し殺し、精神病院の院長へメッセージを送ると、手を上げて扉を軽く叩いた。

中では、二宮慎矢が通話を切ったところだった。淡々とした声が返ってくる。

「入れ」

新谷理子はようやく部屋の扉を押し開けた。表情を必死に整えていたはずなのに、ベッドに横たわる江森美鈴を目にした瞬間、両手が勝手に強張り、かすかに震えた。

二宮慎矢の潔癖がどれほど重いか、彼女がいちばん知っている。とりわけ彼の部屋のベッドは、使用人にすら触れさせない場所だった。

二宮慎矢は、牧野達也が薬を替えに来たのだとでも思ったのだろう。視線を上げ、目の前の人物を認めると、瞳の奥に不快が一瞬だけ走った。

「...

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