第131章 もう一度やり直そう

ドアが開いた、その瞬間。鼻先を殴るように濃い煙草とアルコールの匂いが押し寄せた。

白崎亮介が姿を見せたとき、指先にはまだ煙草が挟まれていた。焦点の合わない顔に、苛立ちだけが混じっている。セーターには灰がこびりつき、いつも清潔で端正だったはずの顔には、目に痛いほどの無精ひげ。

彼は明らかに一瞬固まった。反射みたいにドアノブへ手を伸ばし、閉めようとする。

けれど、刹那の動揺のあと、彼は手を離した。半歩だけ身を引き、横にずれて言う。

「……入れ」

涙が落ちる、その一秒前。江森美鈴は反射的に顔をそむけ、背後の雪原を見た。

こんなふうになる人じゃない。明るくて、前向きで、優秀で、眩しい人だ...

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