第137章 二宮さんは現在三歳です

「美鈴」

二宮慎矢は顔を上げると、手を伸ばして彼女の後頭部をそっと包み込み、囁くように名を呼んだ。

彼女の「どうしたの?」という視線とぶつかった瞬間、言いかけた言葉を喉の奥へ飲み込む。

夢の中に落ちているのは彼女のはずなのに――夢に溺れているのは、むしろ自分のほうだ。そんな気がしてならなかった。

江森美鈴は、疲れ切った彼の眉間に指先で触れた。自分がどれほど眠っていたのかは分からない。けれど、彼が長いあいだまともに眠れていないことだけは、はっきりと分かった。

ベッドで少し休ませてあげたい。そう思ったが、隣のベッドでは江森浅子が眠っている。夜ももう深い。ここで無理に誘うのは、さすがに気...

ログインして続きを読む