第138章 白崎亮介、お前は狂ったのか

病院のロビーで、白崎亮介は車椅子に腰掛けていた。背後から久保田誠子が静かに押している。

彼は遠巻きに、正面玄関の外で立ち尽くす江森美鈴を見ていた。ロビーは人の波が途切れず、車椅子の患者も彼ひとりではない。だから彼の存在は、ひどく目立たない。

江森美鈴は彼に気づかない。ただ目の前の建物と、脇を行き交う人々をぼんやり眺めている。

胸の奥が、からっぽだった。何も残っていないようなその感覚が、この瞬間、頂点に達した気がした。

ここを離れたくない。そんな衝動が無意識に湧く。けれどここはただの病院で、隣には二宮慎矢がいるというのに。

二宮慎矢の目がふっと沈んだ。ロビーにいる白崎亮介を視界に捉え...

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