第149章 彼女はまた彼を拒み始めた

江森美鈴の意識は、夢とも現ともつかない淵を漂っていた。二宮慎矢に抱き上げられ、ベッドへそっと下ろされると、彼女は布団をぎゅっと掴み、か細い声で何度も呻く。

「痛い……痛いよ……」

「少しだけ我慢して。牧野先生、すぐ来るから」

慎矢は彼女の手を握りしめ、低い声で宥めた。触れれば触れるほど傷口が痛む気がして、怖くて、体には手を伸ばせない。代わりに牧野達也へもう一度電話を掛け、早く来るよう急かした。

だが美鈴は、握られた手をするりと引き抜いた。身をよじり、必死に後ろへ下がって、また布団を掴み直す。

拒まれている。

たった二日だ。たった二日で――また、彼女は自分を拒むようになった。

慎...

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