第161章 目が見えないお前が、どうやって警察に通報するっていうんだ?

「……すみません。あなた、ですか?」

その声が江森美鈴の耳元で響いた瞬間、彼女は必死に記憶を探った。けれど、誰なのかまるで思い出せない。

パニックで、ただ一刻も早くここから離れたかった。声の雰囲気が、二宮慎矢のそばにいる人間に似ている気さえする。

江森美鈴は田中実里の手を強く握り、反射的に数歩下がった。言葉がうまく繋がらないまま口を開く。

「……だ、大丈夫です」

朝五時。薄明るい空で、人の顔もはっきりとは見えない。

宮沢和也は疑わしげに、さらに一歩近づいた。だが目の前の女は顔がこけて掌ほどの小ささで、目元を覆うガーゼが半分近くを隠している。

本人かどうか確信が持てない。似ている...

ログインして続きを読む