第17章 この子は君と二宮慎矢の子なのか

「……申し訳ありません、江森さん。田中さんは手を尽くしましたが助かりませんでした。先ほど……亡くなられました

白崎亮介の挫けた声が耳元に落ちた瞬間、江森美鈴は血の気を失い、その場に崩れ落ちた。

どれほど言葉を尽くして慰めたくても、執刀医である白崎亮介には、ここに留まる顔がない。

看護師に呼ばれ、彼は疲れ切った声で一言だけ残す。

「江森美鈴さん……どうか、気を落とさないで。本当に、すみません」

江森美鈴は床にへたり込み、肩を小刻みに震わせた。

田中さんに強い情があったわけじゃない。けれど、田中先生には――返しきれない恩がある。

二年前。自分を守るために新谷智也を殺してしまった彼女...

ログインして続きを読む