第173章 誰もが知っている君が二宮さんを誘惑したいこと

二宮慎矢は、目の前のその顔を茫然と見つめた。輪郭も目鼻立ちも、どこか見覚えがある。なのに、組み合わさった瞬間、決定的に違う――そんな気がした。

相手の視線にあるのは、見知らぬ相手を見る戸惑いと驚きだけ。ほかの感情は、何ひとつない。

また期待してしまったのだ。似ていたところで、彼女であるはずがない。

記者たちのざわめきにかき消されそうになり、二宮慎矢は掠れた声を少し張った。

「……あなたは、誰ですか?」

宮沢和也が立ち上がって追いかけ、礼儀正しく右手を差し出す。

「二宮さん、はじめまして。こちらは小林美優。祖父の弟子で、メディアの前に出るのは今日が初めてです」

「小林美優……」

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