第182章 新谷理子は身を落として体を売り、江森美鈴に出くわした

江森美鈴は彼の言葉に合わせるように頷いた。

「じゃあ、真田さん。私をどこへ連れていくんですか?」

真田健太は可笑しそうに横目で彼女を見る。こんな夜の色の中では、彼女の顔にある“かつての江森美鈴”との違いも、輪郭ごと曖昧になってしまう。――見えるのは、ほとんど同じ顔。

似た人間なんて、世の中にいくらでもいる。だが、別人が“同じ感触”を与えるなんて、彼はあまり信じない。

たとえ目を閉じていたとしても。脳に焼き付いた、どうしても大事な人間が目の前に現れたなら――きっと、気配でわかる。

視線を前へ戻した、そのときだった。何気なくバックミラーに、黒いマイバッハが映り込む。

一瞬。ほんの一瞬...

ログインして続きを読む