第187章 彼女の姿を一目見たくて、抑えきれなかった

白崎亮介が海に落ちてからというもの、江森美鈴はこの二年、ずっと眠りが浅かった。けれど、こんなふうに一晩中まるで眠れない夜は、ほとんどなかった。

窓の外が白みはじめたころ、彼女は目を開け、差し込んでくる朝の光をぼんやり見つめた。――それでも、結局一睡もできていない。

このまま寝落ちしたら寝坊しそうで、いっそ起きてしまう。洗面を済ませ、浴室の鏡に映る、くっきりと隈の浮いた顔を見た。

ふと頭に浮かぶ。もし田中実里がここにいたら、きっと彼女の首にしがみついて、目元を小さな手で撫でながら、甘ったるい声でこう聞くのだ。

「ママ、眠れなかったの?」

二年も経ったのだ。少しは大きくなっただろう。あ...

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