第190章 白崎亮介に会ったようだ

江森美鈴はタクシーに乗り込むと行き先を告げ、後部座席で両手の指をきつく絡めた。握りしめたまま、さらに力を込める。震えが止まらない。

脳裏に、二宮慎矢の言葉がよみがえる。

「お前自身の手で証明しろ。お前が“それ”なのかどうかを」

行くな、と。行くべきじゃない、と。やけに輪郭のはっきりした声が、頭の奥で警告していた。

それでも冷静になれない。さっき電話を寄こしてきた見知らぬ男は、疑われるのが怖かったのか、写真まで送りつけてきた。燃え盛る炎。写っているのは白崎亮介の別荘だった。

白崎亮介の家だ。あの別荘には、彼が生きていた証が、あまりにも多い。

彼はもう死んだ。だからといって、あれまで...

ログインして続きを読む