第197章 二宮慎矢、私はあんたの笑いものを見に来たのよ

田中実里の視線を追って、江森美鈴はきっちり閉まった病室のドアを見た。

外の様子は見えない。けれど、二宮慎矢がまだ廊下にいることくらい、わかっている。

美鈴は答えず、実里の手をぎゅっと握り直した。

「まだ早いよ。ママ、実里ともう少し寝よう?」

子どもは言外の意味を汲み取ったのか、それ以上は何も言わず、こくりとうなずいた。

久しぶりに会った美鈴に、少しだけ距離を感じている。けれど、心の奥ではやっぱり近しいままだ。

点滴はすでに終わっていた。看護師が入ってきて針を抜き、もう一度薬を飲むよう言い含めると、静かに出ていく。

美鈴は実里を抱き寄せて横になった。子どもはよほど眠かったのだろう...

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