第206章 私の恋人、彼はもう亡くなった

少し離れたところで、二宮慎矢が記者たちにぐるりと囲まれていた。さっきまで見えていたはずの姿が、もう人波の中に消えている。

上階の部屋の窓から見下ろした宮沢和也が、珍しく目を丸くして言った。

「二宮グループには招待状、出してないよな。……一昨日、お前があいつを救急送りにしただろ。今日は仕返しで乗り込んできて、会場を荒らすつもりなんじゃないのか?」

「さあね」

江森美鈴はちらりと視線をやっただけで、すぐに引っ込めた。ソファに腰を落としたまま、個展の進行表をぱらぱらとめくる。

砕きに来た――というのは、たぶん本意じゃない。けれど現状、彼女の個展が二宮慎矢の“発表の場”へと変わりつつあるの...

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