第207章 二宮慎矢はこんなに厚かましくなったのか?

記者の質問はまだ続く。

「その絵の中で、あなたの恋人は白いスーツを着ていますよね。ネットでは『医者の白衣みたいだ』という声もありますが、その見方には根拠があるのでしょうか?」

「ええ。彼は医者です。私にとって、世界でいちばん優れた医者で……いちばん優れた男」

二宮慎矢は、江森美鈴が笑っているのを見た。

その笑みには、深い想いと、骨の奥まで染み込むような憎しみが入り混じっていた。

その想いが向けられている相手は、別の男だった。

憎しみは――自分へ。

胸の奥がずきりと痛む。春風はひんやりしているだけなのに、その痛みのせいで額に汗がにじんだ。

頭の中で、さっきの言葉が何度も反芻され...

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