第209章 美鈴、君はきれいになった

別荘に戻った頃には、もう夜の十時を回っていた。

リビングでは西山が背筋を伸ばして待っていた。二宮慎矢と江森美鈴の姿を認めると、すぐに立ち上がって近づき、丁寧に頭を下げる。

「社長」

美鈴に視線を移したものの、呼び方に迷ったのだろう。離婚手続きのために来ている以上、「奥様」とも言いづらい。結局、西山は小さく会釈するだけに留めた。

西山は慎矢の弁護士だ。しかしこの二年の慎矢の私生活は、拍子抜けするほど単純だった。煙草と酒で日々をやり過ごし、付き合いの席にもほとんど顔を出さない。色恋沙汰の揉め事など起こりようがなく、私的な案件が舞い込む余地もない。

あまりに暇を持て余した西山が「二宮グル...

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