第46章 新谷理子の挑発

「元カノ」――あいつは本当に、彼女を惨めにさせる術だけは尽きない。

江森美鈴は南川晴樹へ視線を向け、淡々と返した。

「こんにちは」

時刻はすでに午前10時を回っている。社員たちの慌ただしさは、とっくに始まっていた。

ロビーへ足を踏み入れた瞬間、行き交う社員の足取りは皆せわしない。

二宮慎矢に恭しく一礼して挨拶を済ませると、誰もが例外なく江森美鈴へこっそり視線を投げた。まるで社長が連れてきた「新しいペット」を品定めするみたいに。

二宮慎矢は美鈴にマスクを許さない。そんな視線を向けられ続け、彼女は息が詰まりそうだった。

少し離れたところの女性社員たちが、ひそひそと囁き合う。

「う...

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