第54章 二宮さんと子どもはできたのか

クローゼットと言うには、広さが普通の一部屋を優に超えていた。

男物のスーツやシャツも並んではいるが、スペースの大半を占めているのは、ハイブランドの最新ドレスやセットアップといった女物の服。ガラス張りのシューズキャビネットには、ハイヒールがずらりと収まっている。

江森美鈴は自嘲気味に口元を引きつらせた。これ、本来なら二宮慎矢が新谷理子のために用意したものだろう。

ただ、今そこに居座っているのは自分だ。しかも彼が自分にこれを着せるのだって、要は彼の面子を潰したくないだけ。

美鈴は余計な説明をせず、清水由美の腕に自分の腕を絡めた。

「行こ」

由美は思わず振り返り、もう一度だけクローゼッ...

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