第65章 俺の子を産んでくれ。そしたらお前の父親を出所させる

江森美鈴は、二宮慎矢がまた難癖をつけてくるのだろうと思っていた。ところが彼はそれ以上何も言わず、ノートパソコンを手にするとベッドへ上がり、そのまま仕事を始めた。

そうして、互いに干渉しないまま三十分ほどが過ぎる。

ついさっきまで、あれほど嫌なことが重なっていたというのに――美鈴は一枚描き上げた。

白崎亮介にかけられた催眠のせいなのか、頭の中は妙に冴えている。手もよく動き、線が迷わない。

ベッドの上の慎矢をちらりと見る。彼は真剣そのものだった。無表情のまま画面を見つめ、こちらなど視界に入っていないらしい。

美鈴はそっと描き終えた紙を外し、新しい画用紙をボードに留め直す。もう一枚、続け...

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