第66章 江森美鈴が陥れられる

江森美鈴は嘲るように口の端を引きつらせた。

「美鈴」――そんな呼び方を、いまや彼女を骨の髄まで憎んでいる二宮恵が口にするはずがない。

美鈴は踵を返して階段を下り、二宮恵の向かいに腰を下ろす。何を言い出すのか、じっと見据えた。

二宮恵の表情は、これまでにないほど穏やかに見えた。

「昨夜ね、私も考えたの。あなたと慎矢は長い付き合いでしょう。お互いに愛し合っているなら、私がこれ以上止めても仕方ないわ」

江森美鈴は少しだけ興味を覚えた。さて、どんな芝居を打つつもりだろう、と。

自分は二宮慎矢を刺した。二宮恵が受け入れるはずがない。

だからこそ、もし目の前の女が手間をかけてでも自分を追い...

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